マコモタケとは、真菰(まこも)の茎の部分が「黒穂(くろぼ)菌」という菌に感染し、膨らんで肥大したものです。
旬のマコモタケは、若いタケノコのような食感で、ほんのりとした甘みと香りが上品な食材です。
アク抜きの必要がなく、生でもお召し上がりいただけます。
中華料理の食材として、中国や台湾などではよく知られ、
初物は皇帝に献上されるなど、昔から美食家の羨望の的となっていたそうですが、
日本では、あまり馴染みのない『希少な野菜』といわれています。
その理由には・・・
昔は、日本中のどこの水辺にも自生していた真菰(まこも)なのですが、
河川や、田んぼの用水路などがコンクリートで護岸されたために、今日では、ほとんどその姿を消してしまい、
国内の生産量が極めて少ないことにあります。
また、マコモタケは、美味しく食べられる旬の期間がとても短く、
9月下旬以降から10月中旬迄の約3週間から1ヶ月間ほど
の間しか、収穫が出来ないという理由もあります。
マコモタケには、普段の食生活で不足しがちな食物繊維が豊富なほか、
ビタミンB1・B2、カルシウム・鉄などのミネラル、葉緑素(クロロフィル)などが含まれ、これらの成分が、
・消化器官の運動を促進
・腸内の善玉菌を増やして慢性疾患を予防
・血圧や血糖値の上昇を抑制
・免疫力や抵抗力を高める
など、現代人の悩みに役立つ、スーパーフードとして着目されています。
発送の際は、鮮度を維持するため、葉の根元の部分を数枚程度残しています。
❶ 皮のような外側の葉を全て取り除きます。
❷ 次に、残った緑色の部分を白い部分まで、包丁などでむきます。
(緑色の部分が残っていても、固い部分がなくなれば大丈夫です。)
❸ 根元側の端の固いところを落として、用途に応じて輪切りや薄切り、千切りにして使います。
アク抜きの必要はありません。
旬の採れたてのマコモタケは、生でも美味しく、浅漬けやサラダでお召し上がりいただけます。
一番のおすすめは、素焼きです。マコモタケを皮付きのまま、炭火や魚焼き用の編みで焼くか、
皮をむいたマコモタケを丸ごとホイルに包み、オーブントースターやグリルなどで焼き、
味付は、塩、醤油、味噌、オリーブオイルなどでシンプルにお召し上がりください。
その他、和食にも、洋食にも合いますので、炊き込みご飯や、煮物、パスタやシチュー、
油とも相性が良いので、天ぷらなどの揚げ物のほか、炒め物にもよく合います。
本場中国では、広東の「マコモタケのかき油炒め」、貴州の「マコモタケの魚肉あんハサミ蒸し」や
「澄ましスープ」、雲南の「鶏手羽の薄切りとマコモタケ炒め」、
四川の「マコモタケとホタテの四川風塩味炒め」など、数々の代表的な料理があるようです。
生でも、漬けても、焼いても、炊いても、炒めても、揚げても美味しく、幅広いメニューにお使いいただけます。
また、若杉おばあちゃんとして有名な食養家、若杉友子さんも、
「マコモは、縄文人たちの日常食だった。マコモが人体に入ると、血液、体液、リンパ液、細胞液、唾液に浸透し、
内臓部分から緩やかに穏やかに不必要な老廃物や毒素が、吐き出され排泄され、身体や心が浄化される。
葉はお茶にするだけで、血液の浄化と細胞の活性化になるし、マコモタケは繊維が多く、
腸内を大掃除して浄化してくれ、便秘を解消する。」
と、マコモタケを使った料理法を著書や、料理教室で紹介するなどしていらっしゃいます。
参考文献:若杉 友子 (2011)「野草の力をいただいて・若杉おばあちゃんの食養のおしえ」株式会社五月書房.
葉の根元部分や表皮をのぞかずに、なるべくそのままの状態で、
乾燥しないようにナイロンなどの袋に入れ、冷蔵庫で保管してください。
通常、野菜は生えている状態で、根元を下にして立てて保存するほうが良いのですが、
マコモタケの場合は、逆に根元を上にしたほうが鮮度を保ちやすいようです。
冷蔵庫で保存する際は、一週間くらい保存することができます。
しかし、長く保存すると味が落ちてしまうので、なるべくお早めにお召し上がりください。
長期間保存したい場合は、冷凍保存をしてください。
生のまま冷凍すると、解凍した時にふかふかの状態になってしまい風味を損ないます。
皮をむき、調理用途に合わせて切ったマコモタケを固めに下茹でして、
バットに薄く広げて凍らせ、密閉袋などに移して冷凍しておきます。
食べる時は、解凍せずにそのまま調理することができます。
皮をむき、薄くスライスしたマコモタケをネットやザルに広げ、天日でしっかりと乾燥させます。
(雨天が続く場合は、オーブンなどを使い、晴れ間に日に当てます。)
密封性の保存袋に入れ、湿り気のない場所か、冷蔵庫の野菜室で保存します。
使用する際は、水で戻して調理してください。
中国では、マコモタケの乾燥物62gに適量の水と酢を加えて煮て、煮汁と一緒に一日二回食べると、
風邪の時に解熱効果があるといわれているそうです。
参考文献:中村 重正 (2000)「菌食の民俗誌・マコモと黒穂菌の利用」(株)八坂書房.